風と光の通り道・窓… 3
2017.07.28
今回のブログ担当は、現場監督の北村です。
前回は、窓の設置位置による分類のお話でした。
今回は「窓ガラス」に焦点を当てていきます。
そもそもガラスとは…
「ガラス状態となるケイ酸化合物である。」(Wikipediaより引用) とのこと。
案外、身近な存在でありながら分からないことが多いはずです。
窓にガラスを使用するのは、「硬度が高く、高い透過性、耐候性を備えている素材」だからです。
硬くて、光を通して、どんな天気でも大丈夫、ということです。
ただ、万能な素材であるように見えて、脆くて割れることがあったり、太陽の赤外線を通してしまうため、室内が暑くなってしまうという弱点も抱えています。
近年のガラスは、これらの弱点を克服するように作られているため、そのまま「窓」の性能も上がっているといえます。
色々な工夫がされているがゆえに、「○○ガラス」というものがこの世には沢山あります。
「複層ガラス」、「ペアガラス」、「合わせガラス」、「強化ガラス」、「Low-Eガラス」、「型板ガラス」、「単板ガラス」、「防犯ガラス」
こんなにも種類があるのに、何故かあまり解説されないのがこのガラスという素材です。
少しずつ見ていきます。
◆複層ガラス
複数枚のガラスを一つの枠の中に組み入れて、ガラスとガラスの間に「乾燥空気」「アルゴンガス」などを封入した物です。
商品名が転じて、「ペアガラス」とも呼びます。
ガラスよりも空気の方が断熱性能に優れることを利用した物で、間に入る空気の層が厚ければ厚いほど断熱性能が高くなります。
が、中の空気層の中で「対流」という現象が起こる程分厚くなると断熱性能は良くならないため、中空層を仕切るようにもう一枚ガラスを増やすことになります。
トリプルガラス窓の断熱性能が高いのはこういう理由です。
複層ガラスでないものは、「単板ガラス」と呼びます。
◆合わせガラス
複数枚のガラスの間に樹脂膜などを挟んで接着した物です。
複層ガラスと間違いやすいですが、合わせガラスには中空層がありません。
耐衝撃性を樹脂などで補った素材なので、車のフロントガラスや、防弾ガラス、防犯ガラスとして使用されます。
中の樹脂の性能を変えることでありとあらゆる用途で使うことが出来ます。
窓ガラスとして使うときは、防犯用の特殊なもので使うことが多いと思います。
◆強化ガラス
通常のガラスに特殊な加工を施し、ガラス表面に常に力が働いている状態にしたガラスです。
通常のガラスに比べ、3-5倍の強度があります。
割れる時に粉々になって割れるので、割れたガラスで怪我をしにくいという特性があります。
表面に常に力が働いている特性上、表面に傷をつけたり、尖ったもので付いたりするとあっさり割れるので注意が必要です。
そのため安全性の必要な、学校の窓などに多く使われます。
◆型板ガラス
ガラスを成形するときの型枠にあらかじめ凸凹な模様を付けておくことで、視線を遮ることが出来るガラスです。
基本的にガラスの片面だけが凸凹になっています。
すりガラスなども型板ガラスの一種になります。
一見光も通しにくくなっているように見えますが、光の透過率はあまり変わらないようです。
トイレやお風呂、玄関などの人目を気にする部屋に用います。
道路に面している窓や、隣家の窓と向かい合っている窓など、回りの状況にも合わせて決めるようにします。
◆Low-Eガラス
ガラス表面に特殊な金属膜を付与したガラスです。
Low Emissivity=低放射 という意味です。 「ロー・イー」と読みます。
「放射・対流・伝導」の熱移動の3原則のうち、一番割合の大きい、放射で伝わる熱量を減らしたガラスとなります。
放射熱のおよそ8割をカット出来るようです。
複層ガラスに設ける場合、片方のガラスにのみ使用することが多いです。
普通のガラスの放射熱が10として、1枚目で、8割軽減して、残り2、-8。
その20を2枚目で、8割軽減で、残り0.4、-1.6。
このように2つ設けても、あまり大きな違いが得られず、1枚で十分であるということのようです。
こうしてガラスの弱点に対して、いろいろな対策が講じられているわけですが、その中でも、断熱性能の進化は目を見張るものがあります。
ただ、それでも外壁の中の断熱材と比べると、大きく断熱性能が劣るため、屋外から出入りする熱の割合は窓が大きく占めています。
近年、サッシのフレームをアルミから樹脂製に変更するなどして、さらに断熱性能を上げようという商品が増えてきました。
窓の性能を上げると家の性能も大きく上がります。
新築でも、リフォームでも、窓の性能について考えてみてください。
今回は「ガラスの性能」のお話でした。
家づくりの参考になりましたら幸いです。
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